2025/08/02

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文化・社会

作家の鄭清文氏の追悼式、作品は7つの言語に翻訳

2018/01/16
「国宝級」の作家と称えられ、2017年11月4日に逝去した鄭清文氏の追悼式「最後的紳士:鄭清文紀念会暨文学展」が13日午前、台湾北部・台北市で行われた。文化部の鄭麗君部長(=大臣、前列左)も出席し、台湾の文壇を代表する作家らによる追悼の辞に耳を傾けた。(中央社)
「国宝級」の作家と称えられ、2017年11月4日に逝去した鄭清文氏の追悼式「最後的紳士:鄭清文紀念会暨文学展」が13日午前、台湾北部・台北市で行われた。過去に第9回「国家文芸奨(=賞)」を受賞し、その作品は英語、フランス語、ドイツ語、日本語、韓国語、チェコ語、セルビア語など7つの言語に翻訳されている。
 
鄭清文氏は1932年、台湾北部・桃園市で生まれた。国立台湾大学商学部を卒業。1958年に処女作『寂寞的心』を発表して以来、小説、童話、文学、文化評論などの作品を生み出し、約60年近く執筆活動を続けた。
 
1999年には米コロンビア大学によって短編小説12篇を収録した『三脚馬(邦題は『三本足の馬』)』の英語版が出版された。これが鄭清文氏の作品にとって初めての英訳となった。鄭清文氏はその後、米サンフランシスコ大学環太平洋研究所(University of San Francisco Center for the Pacific Rim)から「Kiriyama Pacific Rim Book Prize」を受賞している。
 
フランス語への翻訳はやや遅く、フランス国立東洋言語文化学院(INALCO)のIsabelle Rabut教授とミシェル・ド・モンテーニュ=ボルドー第3大学のAngel Pino教授の共同翻訳により台湾現代小説集が出版された際、その第2巻が『三脚馬』のタイトルで2016年第4四半期に出版されており、これが短編小説『三脚馬』の初の仏訳となった。Isabelle Rabut教授とAngel Pino教授はこの小説集の中で、鄭清文氏の文体を「平易」且つ「含蓄」があり、ロシアの文豪チェーホフやアメリカの作家ヘミングウェイの風格が漂うと紹介している。
 
Isabelle Rabut教授とAngel Pino教授が合同翻訳する台湾現代小説集は合計4巻の出版を予定しており、そのうち2巻がすでに出版されている。第1巻は龍瑛宗(1911-1999)の『植有木瓜樹的小鎮(邦題『「パパイヤのある街」』)』のタイトルで出版。頼和(1894-1943)、楊逵(1905-1985)、巫永福(1913-2008)などの作品が収録されている。第2巻は鄭清文氏のほか、鍾理和(1915-1960)、林海音(1918-2001)、白先勇(1937-)などの作品が収録されている。小説集の編纂は国立台湾文学館(台湾南部・台南市)が協賛し、月刊文学雑誌『文訊』が出版に協力している。
 
13日に行われた「最後的紳士:鄭清文紀念会暨文学展」には、台湾の文壇を代表する多くの作家が出席した。そのうちの一人、李喬さんは鄭清文氏について「真面目で誠実、まっすぐ。真の文学者で、その人格は彼が書く文章の品格と一致していた」と語った。
 
鄭清文氏とは60年来の付き合いだという詩人の李魁賢さんは、「温厚篤実。人との争いを好まず、決して悪口を言わない人。その作品は現実主義に基づいており、飾り気のない文体のように見えるが、実は非常に計算されている。『みねうち』で止めることで、かえって言葉に無限の余白を持たせることもしばしばだ」と鄭清文氏の作風を振り返った。李魁賢さんは過去に鄭清文氏の詩8篇について論評を書いており、鄭清文氏の作品には「詩の文法が備わっている」と評したことがある。
 
このほか、文学雑誌『文訊』は「最後的紳士:鄭清文紀念会暨文学展特刊」と題した特集を組み、多数の作家による鄭清文氏に対する追悼文を掲載している。その中で私立静宜大学台湾文学系(=学科)の彭瑞金教授は「彼はただ、もう一つの世界へ行って書くことにしただけだ」と書き、若手作家の楊富閔さんは、「鄭清文氏は著書『小国家大文学』の中で『台湾の作家よ、自分に自信を持ちなさい』と書いた。この一文を読んだとき、自分は非常に心が揺さぶられた」と書き、故人を偲んだ。

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